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共産党、志位委員長の労働派遣に関する国会質疑で見えたもの [社会問題]

 共産党の志位委員長が、2月8日の国会予算委員会で“労働派遣法を労働保護法へ”と題して、労働派遣の問題を集中的に50分以上質問をしました。この予算委員会の質疑は、ネットで評判になったようです。いわく、さすが労働者の味方だ共産党、二大政党は自民と共産でお願いします、すばらしぞ、感動しましたなどなど、you  tube動画には高く評価するコメントが寄せられています。

 私も、遅ればせながら、you tube動画を覗いてみたのですが、志位委員長の渾身の質問に引きつけられ最後まで見てしまいました。志位委員長は、ずいぶん派遣労働について調べ上げているようです。劣悪な環境にある派遣労働の実態を、具体例を示しながら明らかにしています。派遣労働者のことを心から考えて、派遣労働者の代弁者として、発言されていたように思います。

 派遣労働者は、全国で321万人いて、その中でも雇用の不安定な登録型派遣は234万人にのぼります。その中でも、究極に不安定な日雇い派遣の不当性を追求しています。日雇い派遣は、拘束時間が長く、日給6000~7000円で、月平均18日の労働で、月13万円から15万円の低賃金であり、明日の保証もないわけです。労働環境は、劣悪で、その日限りであるから目いっぱい働かされる、体でも壊そうものならネットカフェ難民になってしまう、とにかく非人間的な制度であると力説されました。志位委員長は、日雇い派遣の禁止を提案しましたが、福田首相から日雇い派遣は好ましくないとの答弁を引き出しました。

  労働派遣法は、偽装請負や、二重派遣など違法行為があっても企業側は、行政処分が科せらるだけで、一番恩恵をこうむっている派遣先企業は名前も公表されない。。一方労働者は、正社員になった者はゼロであり、解雇など一方的に犠牲になっている実態を明らかにしました。労働派遣法は、派遣先企業保護法になっているというのです。

 志位委員長は、労働派遣法が作られるに当たっての原則を確認しています。法律では、人貸し業は禁止されています。常用雇用の正社員を派遣労働者に置き換えてはいけないのであります。派遣労働は、あくまで、一時的、臨時的であって常用雇用の代替にしてはならないのです。それを担保するために3年以上雇用する場合は正社員にするという条項が付け加えられたのであると。政府も、この原則は、変わっていないことを明言しました。

 しかし、この原則がいかに踏みにじられているかを、キャノンと日立の内部告発の事例を取り上げ、明らかにしました。日立の事例では、五年も派遣で同じ仕事をしてきましたが、三年たったら、法律に違反するからと、班だけを変えて正規雇用にはしませんでした。給料も手取り10万円だというから驚きます。しかし、行政側はこれを認める対応をとってきたのです。

 キャノンは、2006年の内部文書において、現在の派遣社員の割合は三分の一であるが、会社にとって有益であるから、もっとこの比率を上げるようにとの方針を掲げています。もう完全に正社員が派遣社員に置き換わっているわけです。大分や滋賀の工場では、派遣社員は半分にまでなっています。その結果、最高利益を毎年更新し、99年と比べると利益が7倍にもなっているのです。

 一連の質疑を聞いていますと、志位委員長が、派遣保護法への改正が緊急の課題だと提言しても、福田首相に熱意は感じられませんでした。研究会を立ち上げると言い訳してましたが、今さら研究している余裕はないと思います。適当にお茶を濁しておこうという意図が透けて見えます。

 労働派遣法は、政治家、官僚、財界が結託して、自分たちの利益だけを考えて、自分たちの都合のよいように作った法律であったのではないでしょうか。労働派遣法は、表面は行政側から一様説明のつくように化粧を施されていますが、裏から見れば、企業側にとっては、いくらでも都合のよいように解釈できる抜け穴だらけの法律になっているのです。、労働派遣法の正体は、労働者搾取法であったといえるのではないでしょうか。これまで大企業は、企業努力して、利潤を増やそうとしてきました。しかし、1999年の労働派遣法改正以降、手っ取り早いリストラと人件費抑制に走ってしまったのです。大企業は、社員に家庭を持たせ、子供を育てるという社会的責任を放棄してしまったのです。企業経営人の倫理観は、地に落ちてしまいました。

 志位委員長は、ILOの調査報告書を示し、日本は、派遣労働によって短期的には競争力を強化できるであろうが、長期的には、人的資源を構築するのに支障が出ると警告しているといっています。日本経団連の現会長は、キャノングループの会長でもある御手洗富士夫氏であります。自分さえよければ、日本の将来など知ったことでないという人が財界のトップにいるのですから、日本に明るい未来が開けるわけありません。

 志位委員長の派遣労働に関する国会質疑を聞いていまして、はっきりしてきたことがあります。日本は、与党政治家、高級官僚、大企業という政、官、財がトライアングルをつくって、表面上は、うまく国民の目をごまかしながら、裏ではお互いがうまい汁を吸いあって、国を支配しているのではないかということです。そうであれば、日本は格差が解消に向かうことはありえない、格差はむしろを拡大していくのではないでしょうか。自公政権は、強者を守り、あらゆる負担を、弱い者、我々庶民に押しつけようとするでしょうから。
 
 今回の志位委員長の質疑は、弱者である派遣労働者の心からの叫びを代弁したものでありました。私は、共産党支持者ではありませんが、そこのところを素直に評価したいと思います。志位委員長の吐く正論に、心のこもらない答弁を続ける福田首相や桝添厚労相がやけに小さく見えてしまったのは、私だけでしょうか? 


2/8 派遣法改正し"労働者保護法"に 志位委員長が質問/衆院予算委員会(全編)



関連記事 希望社会への提言(18)―「働く貧困層」の自立を支える(朝日新聞社説)
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

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デンジャラズゾーン

メンテナンスのために
ブログ書けませんでした

やっと
終わって
ほっとしました
by デンジャラズゾーン (2008-02-27 16:23) 

ofil425

ハンドルネームが変わりましたね。
長いメンテナンスでした。
また、無理しない程度に続けていきましょう。
by ofil425 (2008-02-27 17:48) 

デンジャラズゾーン

ありがとうございます。
またよろしくお願いします

大仁田さんのブログまた
新しく変わりましたよ

アメーバーから
今月
引越しされました。
by デンジャラズゾーン (2008-03-07 19:30) 

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