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硫化水素自殺を考える [社会問題]

 硫化水素を使用しての自殺が、ニュースで頻繁に報道されるようになりました。硫化水素での自殺は周囲を巻き添えにしてしまうケースが多く、本人にとどまらない悲劇を生んでいます。洗剤を利用して精製する方法がネットに出回っていて、ネットを利用する若い世代での犠牲が多いように思われます。

「橋」  

少女よ
橋のむこうに
何があるのでしょうね

私も いくつかの橋を
渡ってきました
いつも 心をときめかし
急いで かけて渡りました

あなたがいま渡るのは
あかるい青春の橋
そして あなたも
急いで渡るのでしょうか

むこうの岸から聞こえる
あの呼び声にひかれて



 これは、高田敏子さんの「橋」という詩です。今の若者の「青春の橋」は、明るい橋ではなくなってしまっているのでしょうか? 既に「青春の橋」」を渡りきってしまった私としては、若い人へ少し本音で語らせていただきたいと思います。

 今の混迷した世の中に、若い人たちは明るい未来を描けず、重苦しい思いをしている人が多いのでしょうね。その重圧に耐え切れず自殺していく若者がいたとしても非難などできるわけありません。ですが、自殺を考える前に、自殺とはどういうことなのか、本質的なことを少し考えてみるべきではないでしょうか。

 まず、最初に考えておかなければならないことは、人間とはどんな存在かということです。人間とは死んだらそれっきりの無に帰してしまうような存在なのでしょうか? 桜の花でさえ毎年咲くのに、人間が一回きりの人生でおしまいというほど単純な存在とは、私にはどうしても思えないのです。 桜でいえば、木に相当する部分が隠れているのではないかと思うのです。それは、魂、霊的な世界とでも言えましょうか。

 人間というのは、その魂、意識が人間の肉体を自由自在に動かしている存在なのではないでしょうか? このことは、人間の肉体と魂、意識は別々に存在するのではないかということを示唆するものでもあると思います。

 この世で言う人間の死というのは、肉体のみの消滅であって、魂、意識のほうは存続し続けるのではないでしょうか? これは、仮説といわれれば仮説ですが。 もしそうだとすると、自殺しても肉体が消滅するだけで心の面での解決には至らないのではないかと推定されるように思うのです。自殺で、「すべての問題が解決だ」にはならないということですね。

 人間の生きる目的は、どんなことにあるのでしょうか? 今の私には、特別なものはなく、「ただ生きること」以外何もなくなりました。ただし、どう生きるかはまったくの自由でよいのだと思います。自殺は、その生きることの否定、「人間としての自己否定」ということになってしまうのではないでしょうか?

 マヤ、インカ帝国、楼蘭王国などいろいろな廃墟の写真を眺めていますと、其処に生活していたであろう多くの人々のことを想像し、どんな人生模様を描いていたのであろうかと想像をたくましくしてしまいます。と同時に現代においては、それらの人々の人生模様は何も残っていないのです。夢、まぼろし、人生のうたかたを実感させられます。

 人生80年としまして、その間苦労ばかりであったとしても、過ぎてしまえば夢、まぼろしと化してしまうのだと思います。 人生は、初めから夢幻なものであったということなのでしょう。人生をあまりまじめに考えず、いい加減でも何でも、「ただ生きること」を持続することに価値があるのではないでしょうか? 苦しくとも一日、一日を積み重ねていくことにいたしましょう!



毎日新聞 余録:硫化水素

 大きな金づちを「げんのう」と呼ぶのは、近づく生き物を殺してしまう殺生石を打ち砕いた玄翁和尚(げんのうおしょう)にちなんだものという。鳥羽上皇が寵愛(ちょうあい)した玉藻前(たまものまえ)--実は九尾の狐(きつね)が妄執を残して石となったという栃木県那須町の殺生石にまつわる伝承だ
▲能の「殺生石」では玄翁和尚はげんのうを振るうわけではない。里の女の姿をした石の霊と語り合い、言う。「あまりの悪念は、かえって善心となるべし。ならば衣鉢(いはつ)(仏道)を授くべし」。その玄翁が石に花を手向け、焼香して供養をすれば、それより殺生はなくなったという
▲殺生石が近づく鳥獣を倒したのは主に周囲で発生する火山性ガスの硫化水素によるものといわれる。腐った卵に似た刺激臭で知られる硫化水素は、実際に火山地帯などで多くの人命を奪ってきた。命は助かっても重い後遺症のおそれもある
▲この硫化水素を人為的に発生させた自殺事件で、周囲の2次被害が相次いでいる。風呂場で中3の女子が亡くなった高知の集合住宅では約70人が手当てを受け、男性の客が部屋で倒れていた滋賀県のホテルでは従業員9人が病院に運ばれた
▲昨年夏には家族2人が巻き添えで死亡した硫化水素自殺もあった。家族に異変があればまず救おうとする肉親や近所の人を害する有毒ガスだ。独りで思い詰める人には自分を愛する人や縁ある人々との結びつきを改めて思い起こし、どんな手段による自殺であれ思いとどまってほしい
▲人の心を石に変える自殺サイトのはびこるネットの世界だが、こわばった心をときほぐす玄翁のような役を果たすサイトもあろう。自殺を思う人を一人でも多くそちらに導く手だてはないか。

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