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津波第二波が「ドル暴落」を生み出すリスク(植草さんのブログ紹介) [経済ニュース]

  今回の100年に一度といわれる「サブプライム問題」に端を発した金融危機は、いわば津波のようなものと言えるようです。津波は、一度きりではなく、何度も押し寄せてくるのです。植草さんのブログ『知られざる真実』「津波第二波が「ドル暴落」を生み出すリスク」では、今後のアメリカ経済の先行きが非常に厳しいことを指摘されています。

 2009年度のアメリカの財政部門の赤字は1,5兆ドルに達することが予想されます。この赤字をいかにファイナンスするのか? 海外からの投資資金を流入させるか、FRBが不足する財政赤字マネーを供給するかしかないのでしょうが、この過程で、長期金利上昇圧力とドル下落圧力を受け続けることになります。

 長期金利上昇とドル下落が相互に作用しあうようようになると、ドルが暴落して、株安・債権やス・通貨安の「トリプル安」の最悪の事態におちいる可能性があるようです。

 植草さんは指摘されます。『問題の根源にある不動産価格下落は勢いを低下させていない。財政赤字の急拡大とファイナンスの困難、その際の米国長期金利上昇とドル下落圧力の試練が表面化するのはこれからである』と。

 今回の金融危機は、これからが本番かもしれないのです。それは、津波のように、第二波、第三波と襲ってくることが想定されるのだと思います。それでは、植草さんのブログから一部引用させていただきます。

(以下引用開始)

 『オバマ次期大統領は2年間で7750億ドル(約72兆円)規模の景気対策を策定しており、09年度の財政赤字は1.5-1.6兆ドル(約150兆円)に達することになる。

 問題はこの赤字をどのようにファイナンスするかだ。米国は2007年に7300億ドルの経常収支赤字を計上している。米国国内の個人、法人、政府を合算して7300億ドルの赤字を計上していることを意味する。09年度は財政部門の赤字が4500億ドルから一気に1.5兆ドルに拡大する。

 その大半を海外からの資本流入に頼らなければならないだろう。FRBが不足する財政赤字をマネーの供給でファイナンスするなら、過剰なドル供給はドルの信認を揺るがすことになる。

 二つの大きな問題が浮上する。

 第一は、政府部門の巨大な資金調達が米国の長期金利を急激に引き上げるリスクを発生させること。
 第二は、米国の巨大な財政赤字の発生がドルの先行き下落期待を急激に高めること。

 米国の10年国債利回りは昨年6月に5.3%の水準にあった。原油価格が1バレル=147ドルに達する過程で、FRBによる金利引き上げ観測が強まったためだ。

 ところが、その後、原油価格が急落し、金融危機深刻化を背景にFRBが大幅利下げに動き、同時に景気悪化が加速したため、米国10年国債利回りは2.0%にまで低下した。

 為替レートは2000年から2008年央まで、米ドルが日本円以外の主要通貨に対して暴落していたため、昨年央以降、米ドルは日本円以外の主要通貨に対して反動の上昇を示した。

 しかし、今後、米ドルの信認が低下し、米国に対する資本流入が縮小すると、米国ではドル安進行の下で長期金利上昇が発生する可能性がある。景気後退下の長期金利上昇は米国経済にさらに下方圧力を加えることになるため、米国株価はさらに下落圧力を受けることになる。

 これが「ドル暴落シナリオ」であり、米国金融市場は株安・債券安・通貨安の「トリプル安」に直面することになる。』


 『日本経済の悪化のスピードは想像を超えている。鉱工業生産指数は昨年7月の108.3から11月の94.0に急落している。12月、1月の予測指数はそれぞれ、8.0%、2.1%の低下を示している。予測指数に基づくと、本年1月の生産指数は84.7まで落ちることになる。昨年7月比21.8%の減少になる。まさに「みぞうゆう」の生産減退である。

 連動して企業収益が激減する。失業率が急上昇し、家計所得も急減する。不況は2009年に本番を迎えることになる。

 米国金融市場は、昨年9月のリーマン・ショック以来の諸懸案に対する緊急対応が出揃って、小康状態を回復している。シティグループ、GSE、ビッグスリー、AIGなどへの対応が一巡したためだ。しかし、問題の根源にある不動産価格下落は勢いを低下させていない。財政赤字の急拡大とファイナンスの困難、その際の米国長期金利上昇とドル下落圧力の試練が表面化するのはこれからである。

 グリーンスパン前FRB議長が「100年に一度のTSUNAMI」と表現したことを重く受け止める必要がある。「津波」の重要な特性のひとつは、津波が「複数回」、時には「10回以上」押し寄せることだ。

 スマトラ沖地震の際には、津波が押し寄せる前の引き潮につられて沖に向かった人々が帰らぬ人となった。「デリバティブ金融崩壊津波」を軽く見ることはできない。

 麻生政権の遅すぎる対応が日本経済の悪化を加速させている。総選挙を実施して本格政権を早期に樹立することが、最優先されるべき不況対策である。』

(引用終わり)

   植草一秀の『知られざる真実』 「津波第二波が「ドル暴落」を生み出すリスク」
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