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渡辺善美氏の行動は、自民党内の抗争の延長だ [時事問題]

 渡辺善美氏の離党前後の一連の行動は、政権交代を阻止する意図があるのではないかと、植草さんが何回となく警告を発せられているところであります。

 東京新聞が伝えるところによりますと、14日午後、自民党を離党した渡辺喜美元行政改革担当相は、民放のテレビ番組に電話出演し、今後の政治活動に関して「民主党と組むことは全くない」と強調した。

 一方で「自民にも民主にも同じ志を持つ人はいる。政界再編が一番の理想だ」とも述べ、与野党を問わず、幅広い結集を探る意向を示したと伝えています。

 また、15日午後、渡辺喜美元行政改革担当相は、民放テレビ番組で自らの自民党離党について「私が投げた一石で、自民党は相当壊れた。効果は絶大だった」と自画自賛した。

 2011年度からの消費税率引き上げ方針に、自民党内で異論が続出していることに触れ「もし私の行動が鎮圧されていたら、こういう議論も鎮圧されていたかもしれない」との見方を示した。

 さらに「天下りを容認し公務員天国を温存したままで消費税を上げるなど、ふざけるなと言いたい」と述べ、行政改革の優先を訴えた。

 今後について「近々、運動を始める。地方主権や脱官僚のためのタウンミーティングを各地でやる。国会議員が何人集まるかはまったく問題ではない」と述べたとも伝えられた。

 16日には、、脱官僚主義や地域主権などを柱にした「国民運動」の主体となる新グループを江田憲司衆院議員(無所属)や有識者(屋山太郎)らと結成すると発表しました。
(以上東京新聞参照)

 これら渡辺善美氏の一連の行動で、彼が何をしようとしているのか本音が透けて見えているように思われます。

 まず初めに注目しなけれならない発言は、「民主党と組むことは全くない」と断言している点です。渡辺氏が、政権交代を目指しているわけではないことは明らかといえるのではないでしょうか。このことは、「自民にも民主にも同じ志を持つ人はいる。政界再編が一番の理想だ」と述べていることからも分かります。

 渡辺氏の目指しているところは、政界再編によって、自らの路線である小泉構造改革の継続を狙っているように思われます。麻生政権はなし崩し的に小泉改革からの転換を図っていますから、渡辺氏の行動は、自民党内部の路線対立という党内抗争の結果なのだと思います。小泉一派は、(麻生内閣から完全にパージされてしまったものですから)追い詰められて党の外からと連動して運動を起こそうとしているのです。

 以下の渡辺氏の発言は、自民党内の抗争である事を示しているのではないでしょうか?「私が投げた一石で、自民党は相当壊れた。効果は絶大だった」と自画自賛。2011年度からの消費税率引き上げ方針に、自民党内で異論が続出していることに触れ「もし私の行動が鎮圧されていたら、こういう議論も鎮圧されていたかもしれない」。「天下りを容認し公務員天国を温存したままで消費税を上げるなど、ふざけるなと言いたい」。

 小泉郵政選挙の時には、民営化に賛成する構造改革派と反対するものを抵抗勢力にして、両者の争いをマスコミが煽り立て、民主党など野党は蚊帳の外になってしまい、惨敗しました。この渡辺氏の行動も、自民党内の争いを煽りたて、民主党など野党を蚊帳の外にしてしまおうという意図があると見たほうがよいように思います。

 麻生首相の霞ヶ関官僚による支配という旧来の路線と、渡辺氏などの(植草さんのいわれる)「悪徳のペンタゴン(五角形)」の利権を擁護する従米、売国路線の対立というのが本質なのだと思います。渡辺氏の国民運動なるものは、小泉改革継続を実現するために国民を籠絡するものと言わねばりません。決して、国民のためになるものではないのです。

 新たな政策グループについても、「脱藩官僚の会」の江田憲司衆院議員や超保守の屋山太郎氏が加わっていることからわかるように、国民に軸足を置くよりも、現在の権力構造を維持していこうと言う偽装CHANGEの狙いがあると疑ったほうがよいのだと思います。

 大事なことは、自公政権を下野させて、小泉偽装構造改革の責任を明確にすることであります。それには、政権交代しか選択の余地はありません。渡辺義美氏らの偽装国民運動に惑わされることがあってはならないのだと思います。 

   植草一秀の『知られざる真実』 「「リフォーム詐欺」防止の国民運動を発足させよう」
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麻生首相の楽観主義は宗教の域と植草さんのブログ紹介 [時事問題]

 麻生首相は、年頭の記者会見を、「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意思によるものである。好きな言葉であり、ある学者の言葉(アラン「幸福論」)です」と楽観主義者であることを表明して始めました。
 そして、「未来は私たちがつくるもの。未来は明るい。そう信じて行動を起こす。そうした意志こそが、未来を切り開く」と続けました。

 麻生首相は、筋金入りの楽観主義者であることがわかりますが、これまでの言動を合わせて考えますと、楽観主義が一種の宗教の域にまで達しているかのようです。

 それで、自民党の未来も明るいと信じて疑わないのです。そう考えますと。自民党総裁選に当選したときの挨拶で、「政策を実行に移す力が我々以外の政党にどこにあろうかと思っております。その政党は民主党ではない、断じてありえないと思っております」と宣言したのも理解できるように思います。

 麻生首相は、楽観主義が正しいと信じて疑わないわけですが、楽観主義にも長所、短所があるように思います。あまりにも楽観主義過ぎますと、現実を正しく見ることができなくなるのではないでしょうか?

 たとえば、先に滝が待っている川を下る船の上で、楽観主義者は滝の危険を深刻に受けとめられず、そのまま滝へ落ちるということが起きるかも知れませんが、悲観主義者は危険をいち早く察知し、船を岸に着けると思うのです。

 今の自民党は、選挙という滝が待っているのですが。極端な楽観主義の船長(麻生首相)は、未来は明るいと、滝が見えていない状況にあるのか、あるいは見えていても見ない振りして現実逃避しているかなのだと思われます。

 過ぎたるは及ばざるがごとしで、極端な悲観論も、極端な楽観論もよくないのだと思います。事実を冷静に見つめ、分析することがなければならないと思います。麻生首相の極端な楽観主義は、日本の将来を危うくする可能性があるような気がするのですが?

 また、極端な楽観主義者は、頑固になって、反省することがないというところがあるのではないでしょうか? 麻生首相は、(100年の経済危機を錦の御旗にして)小泉構造改革を否定することなく路線転換をはかっているように見えます。権力を維持するために、自民党の政策が、カメレオンのように変わって国民を惑わしても、麻生首相は恥じいることがないようです。

 いずれにしても、麻生首相のような楽観主義者の目くらましに負けないようにする必要があります。そのために、我々一般国民は、小泉構造改革の総括という原点に帰って確認する作業を、定期的に行うことを欠かしてはいけないのだと思います。そして、その作業をしてくれているのが、植草さんのブログ『知られざる真実』であります。今回は、 「市場原理主義者の総括が変革への第一歩」と題して、市場原理主義を総括していますので、後段部分を引用させていただきます。

(以下引用開始)
 
 「市場原理主義者」の特徴は、「資本の利益増大」だけを追求し、「労働者」の分配所得減少、労働者の身分の不安定化にまったく配慮しなかったことだ。「資本」が利益追求に走る場合、「資本」は「労働」を機械部品として取り扱う。

 企業は派遣労働者の労働コストを「人件費」ではなく「物件費」として計上する。不況が波及して生産水準を切り下げるとき、企業は労働者の生活への影響を一顧(いっこ)だにせず、突然の「雇い止め」通告を冷酷に発する。

 企業を取り巻く競争条件の急変に対応して、企業の雇用人員調整の要請に応じるための制度変更を実施するのであれば、同時に労働者の生活を保障する施策を新たに設けることが不可欠だった。

 「市場原理主義者」は労働者の生活を安定化させる施策整備を主張しなかった。市場原理主義者は「資本の手先」としての行動を貫いて現在に至っている。この期(ご)に及んで「法人税減税」を唱える人物に、意見を求める理由は存在しない。

 1998年から2006年にかけての分配所得の推移を検証すると、雇用者の所得が減少した一方で、大企業収益、役員報酬、株主配当が倍増した。企業は存続の限界線を歩んだのではなく、史上空前の最高益を謳歌(おうか)したのだ。

 結局、労働市場の規制緩和は、「労働」の犠牲のうえの「資本」の利益増大をもたらしただけだった。派遣労働の拡大を中心とする非正規雇用労働の急激な拡大は、労働者のなかの低所得労働者の比率を急激に増大させた。しかも、派遣労働者を中心とする非正規雇用労働者に対する各種社会保険による保障整備は、完全に考慮の外に置かれた。

 繰り返しになるが、「同一労働・同一賃金」の基本ルールを早急に構築する必要がある。同時に、雇用を失う労働者に対する保障制度を確立する必要がある。派遣労働者、正社員、役員の所得に天文学的な格差がつく合理的な根拠は存在しない。企業経営に対する影響力の大小をよりどころに、労働者が資本家に搾取(さくしゅ)されているだけだ。

 日本の法人税負担は実効税率で比較して、諸外国に比べて突出して高いものではない。法人税が高いと主張して海外に移転するなら、そのような企業は海外に移転すればよい。そのような企業の製品を日本国民はボイコットすることになるだろう。

 政府の経済財政諮問会議には4名の民間議員が参加している。橋本政権が諮問会議を発足したときから、民間議員の構成は2名の財界人と2名の御用学者である。これらの「資本」と「財政当局」の利害を代表する「御用人」と「御用学者」がさまざまな制度改革を主導してきた。

 彼らは「資本の論理」を国の制度に反映することに注力した。その結果、労働市場の規制緩和が強行され、日本社会が変質した。「格差社会」、「労働者の生存権危機」は、「御用学者」と「資本家」によって導入された制度によって生まれたのである。

 経済財政諮問会議の民間議員に「消費者」と「労働者」の意向を反映する人物を登用する必要がある。

 小泉政権以降の自公政権は「市場原理主義」=「新自由主義」を表看板に掲げて、
  ①「弱肉強食奨励」=「大企業の利益」
  ②「官僚利権死守」=「特権官僚の利益」
  ③「対米隷属外交」=「外国(資本)の利益」
 を追求してきた。麻生政権もこの路線を踏襲(とうしゅう)している。

 2009年は政権交代を実現して、
  ①「セーフティネット再構築」=「国民の利益」
  ②「官僚利権根絶」=「国民の利益」
  ③「自主独立外交」=「国民の利益」
 を追求する路線に基本方針を転換しなければならない。

 「市場原理主義者」が「大資本(業)」、「特権官僚(官)」、「外国資本(外)」の利益だけを追求してきたことを明確に認識しなければならない。「市場原理主義者」は企業を取り巻く環境変化の機に乗じて、「労働」に犠牲を強いる「資本の論理」を日本社会に強引に植え付けた。「市場原理主義者」を総括することが、新しい時代に踏み出す第一歩になる。

(以上引用終わり)

 小泉構造改革の真っただ中で、道路公団改革委員会でしたか、田中委員長が辞任の際、「皆さん、だまされないようにしてくださいね!」と遺言してくれた場面が忘れられません。すったもんだして、結局最後に残ったのは、猪瀬氏と大宅氏という情けないことになってしまったのでした。田中委員長は、暗闘の中で改革の正体が分かってしまったのです。それで、あの遺言を残していかれたのだと思います。

 小泉改革は、自民党の有力政治家、一部の財界人、高級官僚、アメリカの外資が連携して、改革に名を借りた火事場泥棒を働いたようなものと言えるのではないでしょうか? 偽装改革の裏で、ひそかに大儲けた連中がいるのです。

 火事場泥棒は犯罪です。犯人を解明しなければなりません。そうしなければ、また繰り返される恐れがあるでしょう。小泉構造改革を総括しないで先に進めないし、進んではいけないのだと思います。

 最後に、田中委員長の遺言を記して終わりにします。

 「皆さん、だまされないようにしてくださいね!」

   植草一秀の『知られざる真実』 「市場原理主義者の総括が変革への第一歩」 
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麻生首相の年頭記者会見で感じたこと [時事問題]

 新聞報道によると、『麻生太郎首相は4日午前、年頭の記者会見を官邸で行い、衆院解散・総選挙に関し「解散は総理大臣、麻生太郎が決断する」と述べ、自らの手で衆院解散・総選挙に踏み切る考えを強調した。「急ぐべきは景気対策ということははっきりしている。まずは予算と関連法案を早急に成立させることが重要で、それまで解散を考えていることはない」と述べ、解散は2009年度予算案と関連法案の成立が見込まれる今年春以降とする考えを明言した。

 民主党との「話し合い解散」については、「考えていない」と改めて否定した。同時に、「(次期衆院選の)争点ははっきりしている。効果的な経済対策、景気対策、生活対策を迅速に打てるのは政府・自民党だ」とも語った。

 首相は「景気回復の後に消費税増税をお願いすると言った。無責任なことをできないのが政府、自民党だ」と述べ、「中福祉、中負担」維持のため経済情勢の好転を前提に消費税率引き上げを行う考えをあらためて表明。次期衆院選では経済・生活対策が主要な争点になると指摘した。』と伝えられています。(以上読売新聞、東京新聞参照)

 麻生首相は、自民党総裁選の当選挨拶で、『今国民が抱えております数多くの問題、生活の問題、将来への不安、また国家国民を守る安全保障の問題などなど堂々と掲げ、実行に移す力が我々以外の政党にどこにあろうかと強く思っております。その政党は民主党ではない、断じてありえないと思っております』と挨拶したのでした。

 念頭の記者会見でも、『効果的な対策を迅速に打てるのは自民党だ』と言って、政権を担えるのは自民党しかいないということを言外に匂わせています。

 麻生首相は、民主党など野党と協調する姿勢はないように思います。野党は、政府自民党に従いなさいということなのではないでしょうか? 第2次補正予算案は定額給付金と抱き合わせになっているので、野党は、(定額給付金をやめて)雇用対策や景気対策に使うべきだとして、定額給付金の分離を主張していますが聞く耳を持たないようです。

 麻生首相は、国民の直近の民意が現れている参議院の意志など問題にしていないように思われます。すべて、自分中心に世界がまわっている(自分が一番上等だ思っている)人なのではないでしょうか? こういう性格の人をどう表現したらいいのか悩んでしまったのですが…。

 麻生首相という人は、みんなが地動説が正しいと言っている時に、天動説が正しいと主張して悪びれないような人というのはどうでしょうか? ドンキ・ホーテ的な人と言えるのかもしれません。いずれししても、「100年に一度の経済危機」というからには、(私心を排して)みんなで協力して難局を乗り越えようというのが常識的な対処の仕方だと思うのですが、政局を第一にして(公より私を優先して)いるように見えるのは残念なことです。

 話は変わりますが、今年の箱根駅伝は、東洋大学が不祥事を乗り越え、感謝の気持ちをもって走って総合優勝しました。謙虚な気持ちで走ることが、、選手の能力を十二分に発揮させたように思います。

 今の世の中の流れは、分かち合いの精神とか、謙虚な心が求められているように思われるのです。麻生首相は、時代の流れに掉さしているように見えて仕方ありません。いずれ無理がでてきて自壊することになるのではないでしょうか?

 読売新聞 「解散時期、今春以降を明言…首相年頭会見」の記事
 時事ドットコム 首相記者会見の要旨の記事
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この時期の消費税増税論議は、天に唾をするようなもの [時事問題]

増税の道筋、法案でなく付則で 中期プログラム閣議決定(朝日新聞)

 政府は24日、消費増税など税制抜本改革の道筋を示す「中期プログラム」を持ち回り閣議で決定した。プログラムに基づく税制改正の運びについては、消費増税などのスケジュールを定めるプログラム法案ではなく、来年の通常国会に提出する税制改正関連法案の付則に盛り込む方針を明記した。

 消費増税時期は、麻生首相がこだわった「(3年後の)2011年度」と明記。一方で公明党に配慮し、「3年以内の景気回復に向けた集中的な取り組みにより経済状況を好転させる」ことを増税の前提条件とし、景気回復に力点を置く姿勢を強調した。

 プログラムの立法化については「09年度の税制改正に関する法律の付則において、立法上明らかにする」とした。政府内ではプログラム法案の通常国会提出も検討したが、総選挙を控え、消費増税を前面に掲げることに与党内の抵抗感が強く、税制改正関連法案の「付則」に盛り込むことにした。

 閣議に先立ち自民、公明両党は同日朝、幹事長、政調会長らが会談してプログラムを正式に了承。その後、自民党の政調審議会と総務会でも了承された。
(以上引用)


 消費税の増税時期を「(三年後の)2011年度」と明記した税制関連法案の付則を含む、(消費税増税などの税制抜本改革の道筋を示す)「中期プログラム」を閣議決定したということなのでしょうが、何かオブラートにくるまれているようで、これがどうゆう意味を持つのかぼんやりした感じになっています。

 「プログラム法案」を通常国会に提出して、消費税増税の工程表をつくるのが本来のやり方なのですが、選挙前に消費税の増税を前面に掲げることはできなくて、税制関連法案の付則にプログラム法案の予告を入れたということではないでしょうか?

選挙前                     選挙後                2011年度
税制関連法案国会提出       →  プログラム法案国会提出  → 消費税の増税実施
(付則2011年度消費税アップを明記) 

 消費税の2011年度増税に向けて、実質的に一歩踏み出したということなのでしょう。消費税の増税を正面切って言わずに、こそこそと既成事実を積み重ねていこうというやり方は姑息だと思います。総選挙で国民に増税を意識させずに、うまくスルーしようという魂胆が見え見えなのです。  

 今度の衆議院選挙までに、さまざまな情報戦が仕掛けられるでしょうが、 我々は、惑わされることなく、総選挙が「消費税増税の是非を問う選挙」であるということを肝に銘じなければなりません。  

〇消費税を増税する前にやることがある

  最初に消費税の増税ありきは、まやかしがあるのだと思います。正しくは、官僚の(天下り)利権などのムダをなくすこと先にありきでなければなりません。特別会計の220兆円には、ムダが多いようです。 民主党は、約1割20兆円削れるといっています。埋蔵金は、隠し金といっても良いのでしょうか? 伏魔殿のようでよくわかりませんが、税金が余ってごまかされているように思います。特別会計は、一般会計に繰り入れて、すべてを明らかにしなければなりません。

 このムダを削らないと、『底に穴のあいたタライに、水をいっぱいにしようと一生懸命になっている』 のと同じことになってしまうのです。普通は、タライの穴をふさいでから水を入れます。これは常識です! でも、自民党の政治家たちには、通じないのです。穴をそのままにして、水が足らない、水が足らないと言っているのです。国民は、消費税増税だと言われたら、タライの穴をふさげ、ムダを省けと指摘してやればよいのです。だまされないようにしなければなりません。

 さらに、来年は景気がさらに悪化して税収が大幅に減少します。民間企業は既に賃金が下がっているのですから、政治家や公務員は給与を削るのが増税より先にあるべきではないでしょうか? 大阪府は、給与カットを既に実施しているのですから、できないことはないはずなのです。そうでなければ、河村議員の言うように、「税金で暮らすものは、極楽!極楽!」ということになってしまうのではないでしょうか。

〇消費税を上げられるような環境にあるのか?

 麻生首相は、今回の世界大不況の処方箋を全治三年と書きましたが、何の根拠があっていっているのでしょうか? 麻生氏の直感か、口からのでまかせではないでしょうか? 景気悪化の底は見えていないのです。来年はさらに加速度的に悪化するでしょう。今回のサブプライム不況は単なる循環型の不景気ではないのだと思います。元に戻らないかもしれません。こんな状況で、消費税増税を言い出す麻生首相のセンスを疑わなければなりません。

 植草さんの『知られざる真実』 「天下りを死守して消費税大増税しますけど、何か」と題した投稿には、このタイミングで消費税の増税を言い出すことがいかに的外れなことか詳しく解説されていますので読んでいただきたいと思います。今の時期に消費税の増税を言い出すのは天に唾をするようなものだと言わねばなりません。

   植草さんのブログ『知られざる真実』 「天下りを死守して消費税大増税しますけど、何か」
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欲望という名の電車(植草さんのブログの紹介) [時事問題]

 今、経済的に大混乱しているのは、アメリカで欲望を暴走させた市場原理主義という怪物が、あばれまわり、人間は、物質至上主義に陥って、物欲に狂乱させられてしまったからではないでしょうか? その欲望は、巨大なバブルを創りあげ、そのバブルがついにはじけて、世界に甚大な被害を及ぼしているです。

 バブルがあまりにも巨大となったため、はじけ方もすさまじいものになっているのであり、そのスピードも考えられないような速さで進んでいるのだと思います。

 これらバブルは、借金で積みあがったものであり、真の実力の需要ではなかった、虚構の需要であったのです。今、借金の臨界点を突破して、需要が突然消えてしまった状態なのだと思います。その結果、残されたのは、貸付金の焦げ付き、不良債権の山また山になっているのです。

 これは、大きな価値観の転換を伴った変化のような気がいたします。物質至上主義は崩壊したのです。人間は、他のものに価値を見出さざるを得ないところに追い込まれていくのではないでしょうか?

 今回の世界大不況は、ある時期にきたら景気が元に戻るというような循環型の不況ではなく、元に戻ることはないように思われます。バブル前の需要まで戻らなければならないのです。大企業は、過剰生産分をそぎ落とさなければならなくなるでしょう。

 アメリカは、「極端な市場原理主義」「金融工学」などの詐術を使って、強者がより強者になるために、富裕者たちがやりたい放題のことをやったのだと思います。まさに、地球規模で「欲望という名の電車」であったのです。そして、自爆してしまったのでした。


 この悪意に満ちた「極端な市場原理主義」を、小泉純一郎氏や竹中平蔵氏らは、「小泉構造改革」と称して、日本に持ち込んだのであります。これはアメリカ、ブッシュ政権の意向に沿うものでした。

 植草さんのブログ『知られざる真実』では、 「大政奉還」を決断すべき麻生首相と題した投稿で、未曾有の不況に突入して、小泉構造改革の反国民性があからさまになってきているとして、ふたたび小泉偽装構造改革を総括していますので、一部引用させていただきます。

(以下引用開始)

 『不況深刻化で問題が表面化しているのは、単なる景気循環上の問題ではない。小泉政権が推進した「市場原理主義」政策の歪(ひず)みが表れた現象なのである。

 小泉政権は「効率」、「成長」を重視して、「分配の公正」、「セーフティネット」を軽視した。その背景には、政治が「資本」と「国民=労働」のどちらの利益を重視するのかという問題が横たわっている。小泉政権の「改革」政策=「市場原理主義」政策は「資本」の利益を優先する政策路線なのだ。

 「大企業」=「資本」の利益を優先する立場に立てば、①労働者の賃金が低く、②労働者をいつでも解雇でき、③企業の社会保障負担が低く、④法人税負担が低く、⑤株主および経営者の所得が高い、ことが望ましい。

 小泉政権の「改革」政策路線は、「資本」の利益を優先する政策方針だった。労働市場の規制を撤廃した結果、非正規雇用労働者が激増し、非正規雇用労働者の雇用保障は消滅した。一生懸命に働いても年収が200万円に届かない低所得労働者が激増した。

 問題は不況の局面で顕在化(けんざいか)する。不況に直面して日本を代表する大企業が一方的な解雇=雇い止めを通告している。不安定な労働条件の下で労働してきた多数の非正規雇用労働者が寒空の年末の路頭に放り出される事態が全国で一斉に発生している。

 小泉政権は財務省の「財政再建原理主義」路線に沿って、「セーフティネット」の破壊(はかい)にいそしんできた。「高齢者」、「障害者」、「母子世帯」、「低所得者」、「非正規雇用労働者」に対する冷酷な政策が激しい勢いで推進されてきた。社会保障関係支出を年間2200億円切り込むなどの非人道的な政策が大手を振ってまかり通ってきたのだ。

 一方で、財務省の天下り利権は完全に温存されてきた。最も分かりやすい事例として、私は日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫のいわゆる「財務省天下り御三家」への天下りが廃止されるかを注視し続けてきた。2005年から2006年にかけて、小泉政権が政権末期にこの問題を提示したので、「天下り」問題に対する最後の意思表示の機会として注目したが、結局、小泉政権は「天下り」を完全に温存する選択を示した。

 中川秀直氏、竹中平蔵氏などが官僚利権根絶と主張しても、まったく信用できないのはこのためだ。彼らは小泉政権の中枢に存在しながら、「天下り」根絶をまったく推進しなかった。小泉政権の「市場原理主義」は「国民の利益」ではなく、「官僚の利益」実現を目指す政策路線でもある』


 『サブプライム金融危機は市場原理に全幅の信頼を置き、金融市場での金融機関の活動を「自由放任」した結果として生じた「人災」である。金融機関の行動を「自由放任」する政策スタンスが「市場原理主義」と批判されているのだ。 

 小泉政権以来の「市場原理主義」経済政策は
  ①「弱肉強食奨励」=「大企業の利益」
  ②「官僚利権死守」=「特権官僚の利益」
  ③「対米隷属外交」=「外国(資本)の利益」
 を追求する政策路線である。麻生政権もこの政策路線を基本的に踏襲(とうしゅう)している。


 いま求められている政策路線の転換は、
  ①「セーフティネット強化」=「国民の利益」
  ②「官僚利権根絶」=「国民の利益」
  ③「自主独立外交」=「国民の利益」
 を政策路線の基本に据えることだ。


 「市場原理主義」の経済政策においては、「大資本」、「特権官僚」、「外国資本」の利益追求を「政治屋」と「マスメディア」が結託して推進した。これを私は「政官業外電=悪徳ペンタゴン」による「利権互助会の利益追求政治」と表現している。

 「市場原理主義」を排して、「人間尊重主義」に基づく経済政策路線を基本に据えなければならない。セーフティネットを強化し、官僚利権を根絶し、自主独立外交を展開しなければならない。麻生首相が首相の座に1日でも長く居座るために、理念も哲学もなく政策手段を濫用することは、主権者である国民には、はなはだ迷惑なことだ。

 政治は首相の私物ではない。国民の支持を完全に失っている首相は政治を私物化せずに、一刻も早く政治権力を主権者である国民に返還するべきである。「大政奉還」されれば国民は直ちに総選挙を実施して、危機に対応する本格政府を樹立することになる』

(以上引用終わり)

 東京新聞は、『大量の人員削減を進めるトヨタ自動車やキヤノンなど日本を代表する大手製造業16社で、利益から配当金などを引いた2008年9月末の内部留保合計額が、景気回復前の02年3月期末の17兆円から倍増し空前の約33兆6000億円に達したことが23日、共同通信社の集計で明らかになった。この間に米国の金融資本主義が広がり「株主重視」の経営を求める風潮が日本でも強まった。増配や自社株買いなどで市場での評価を高める経営手法がもてはやされた』と報道しています。

 労働者や下請け企業から搾取し、株主は配当を増やし、役員の報酬を増やして後はせっせと内部留保に励んでいたことが数字で裏付けられました。派遣切りに走る経営者は、弱い者をいじめて、我よしの精神、公より私を優先する精神に毒されてしまった人たちであるといえるのだと思います。

 小泉構造改革を総括し、偏った「市場原理主義」を否定しない限り、自分さえ良ければそれでいいといった精神の退廃を克服し、弱者に目配りする社会を構築することはできないのだと思います。それほど、小泉構造改革の破壊力はすさまじいものであったということなのだと思います。

   植草一秀の『知られざる真実』 「大政奉還」を決断すべき麻生首相
   
   東京新聞 「大手製造業、株主重視で人員削減 内部留保、空前の33兆円」の記事
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09年度政府予算の財務省原案に思うこと [時事問題]

 09年度政府予算の財務省原案が示されました。予算総額88兆5500億円で08年度を5.5兆円も上回り当初ベースで過去最大に膨らんだ予算となりました。麻生政権が、選挙を意識して、旧態依然の公共事業や地方へのばらまきを復活させ、実質的には積極財政路線に転換した内容となっているようです。

 麻生首相は、小泉改革の緊縮財政路線を否定せず、別枠で積極財政的な手当てをする、両立はできないことはないというような内容のことを述べておられました。 朝日新聞は、「選挙の年の予算―危機克服の戦略を競え」と題した社説で、二兎を追うものは一兎も得ずにならないか危惧して、次のように述べています。

 『財政規律を守ったふりをしながら、ちまちまと財政出動を盛り込んだ結果、どれだけが一時的な緊急対策なのか見えにくくなった。これでは景気回復後に元へ戻すべき歳出規模が不透明になり、はたして規律を取り戻せるか、強い懸念が残る。

 一時的に財政路線を転換するのならそれを明確にし、集中的に予算を投入する優先分野を決め、国民の納得を得なくてはならない。そうでないとばらまきの寄せ集めに終わってしまう』

 福田内閣は、道路特定財源の一般財源化を閣議決定したのでしたが、道路族に押し切られ、大半が従来どおりの道路建設に向けられることになりました。それどころか、不況対策の予備費や地方交付税の増額各1兆円の中に、別口の公共事業が潜り込む可能性が高く 、焼け太りにになってしまうかもしれないのです。

 支出の無駄排除についても、随意契約が多く、補助金への切り込みはできず、族議員や官僚の利権の排除はまったく進んでいないのです。

 財源は、埋蔵金でまかなわれるようです。定額給付金の財源の一部も埋蔵金が充当されるとか? いったいいくら埋蔵金があるのか「へそくり」の多さにあきれると社説で言っていましたが、一般会計に繰り入れて、いくらあるのか明らかにした上でないと、消費税論議など論外であります。

 社説では、『予算をこうして眺めると、そもそも選挙の顔として期待された政権が、予想外の経済危機に直面し、旧来型の発想で支持基盤へばらまく予算をかき集めた、といわざるを得ない』と述べて、自民党が小泉改革以前に逆戻りしていることを指摘しています。

 自民党は、旧来の族議員による利権政治を排除するために、小泉偽装改革を始めたのではないでしょうか? それを、小泉改革が失政であったからといって、旧来のバラマキ政治に戻すとは、自民党は一体どうしてしまったのでしょうか?

 これは、自民党では、もう改革できないということを証明するものと言わざるを得ません。いまや自民党は、国民をごまかして生き延びるしかない反国民的政党になってしまったということでもあります。「解散は絶対にしない」「党を批判する者には刺客がいくだろう」というような言動が聞こえてきますが、国民の目線を忘れ去って、権力維持に翻弄された政治家の醜態をさらしているように思います。

 今回の世界的経済の大混乱は、元に戻ることのない新しい世界への変化である可能性が高いのではないでしょうか? こうした、時局には、政治は将来の展望を語り、新しい理念に基づいた政策を実行していかなければならないものと思います。それは、分かち合いを基本にした共生社会をベースにするものでなければならないような気がします。

 しかし、自公政権が、繰り出すであろう(伊吹前幹事長がいみじくも言った)目くらましや(定額給付金などの)まき餌に惑わされずに、国民が自分たちの手に政治を取り戻すことができなければ話になりません。自公与党の政治家は、自分たちは釣り人で、国民は簡単に餌に食いつく魚だと見下しているのです。我々国民は、一寸の虫にも五分の魂の精神で、自公与党の政治家を見返してやろうではありませんか?

   ラジオ川柳の特選  定額給付金、もらうけれども入れないよ!

   朝日新聞社説 「選挙の年の予算―危機克服の戦略を競え」

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雇用対策法案提出でわかること [時事問題]

 急激に悪化する雇用情勢に対処しようと、民主党など野党3党は、緊急の雇用対策法案を参議院予算委員会に提出しました。

 内容は、採用の内定を取り消す場合には、書面で理由を示すことを義務づける。非正規社員として働く人の解雇を抑えるために、雇用調整助成金の対策を広げる。職と住まいを失った人へは、公的な住宅を提供したりといったことです。

 これらの雇用対策は、来年の国会に先送りされた第2次補正予算に含まれているようですが、野党3党は、深刻化する雇用危機に、年内の対策が必要とされていると急遽法案を提出することにしたのです。しかし、自民党は、この法案に協力的ではないようです。自民党としては、会期末になって法案を出し、麻生政権の無策ぶりを浮き立たせることをねらったような民主党の作戦に反発があることが原因らしいです。

 しかし、雇用対策の遅れは、政府自民党が、第2次補正予算の内容を決めておきながら、解散に追い込まれることを恐れて、国会提出を先送りしたことが招いたものなのです。

 景気悪化は、予想できなかったスピードで進んでいます。人員削減の波はとどまることなく、失業者が激増しているのです。にもかかわらず、自民党が、野党提出の雇用対策法案に反対して先延ばしすれば、政府自民党は、国民のことより政局を優先していると言わなければなりません。

 これまで、自民党は、民主党のことを政局を優先していると非難し続けてきましたが、実は、政局化させてきたのは自民党であったのではないかとも考えられるのです。

 参議院議員選挙の時、安倍元首相は、「安倍を選ぶか、小沢を選ぶかの選挙である」と訴えて、選挙を戦いましたが、結果は、惨敗でした。筋論から言えば、国民は小沢氏を選んだのですから、安倍首相は辞任し、与党は下野するか、小沢氏の民主党の政策を尊重していくのが当然でありました。しかし、安倍首相は前言をひるがえして、続投しようとしましたが、挫折してしまいました。

 後を受けた福田前首相も、参院選の国民の意思を無視し、小沢氏の民主党と協調せず強行突破をはかりました。その結果、自分の思うようにいかなくなると、ねじれ国会という詭弁を労して、国民の意思である参院の野党に責任をかぶせようとしたのです。そして、福田首相の突然の辞任により、麻生首相の登場となったわけです。こうした経過を見てまいりますと、自公政権は、直近の国民の意志である参議院を無視して、民主党の反発を誘い政局化してきたことが分かります。このことが、政治が硬直している真の原因なのではないでしょうか?
 
 麻生首相は、「政権を担えるのは、我々しかいない、民主党ではない、断じてあり得ない」と自民党総裁の当選挨拶で述べています。これでは、国民の意思である参院を無視すると政局化宣言しているようなものです。自公政権は、衆議院で3分の2再議決を連発していないで、野党ともっと協調するべきではないでしょうか? 「ねじれ国会」という言葉は、自公政権の側から政局化しておいて、責任を民主党にかぶせるまやかしの言葉なのだと思います。

 新報道2001の調査では、麻生内閣の支持率は、19.8%で不支持率は75%になっています。国民の信は麻生政権から離れ、民主党への支持が増えているのです。

 しかし、自民党は、この事実に面と向き合うことができず、政局化して、自分の意志を通そうとしているように見えます。いずれ分かることですが、これは自滅につながる道なのだと思います。

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市場原理主義に代わるもの(植草さんのブログ紹介) [時事問題]

 小泉元首相は、バブル崩壊後のいきずまりに対して、改革をよそおった構造改革(実際は、アメリカ主導の新自由主義であったわけです)を進めました。今、小泉改革は、弱者に犠牲を強いて、富裕層や強者のための改革であったことが露呈し、弱者である国民は塗炭の苦しみを味わされております。

 麻生首相は、この小泉偽装構造改革を否定することなく、元の官僚支配政治に戻ろうとする動きが顕著であります。麻生政権は、官僚支配構造を温存したまま、(変わらず富裕層を優遇した)国民目くらましの政策を連発しているだけというのが実態のように思います。これでは、小泉改f革が、いつまでも総括されず、うやむやのままであります。

 植草さんのブログ『知られざる真実』では、「市場原理主義に代わるもの」と題する投稿で、小泉改革が進めた、「市場原理主義=新自由主義」の問題点を解説され、どう改めるべきかをわかりやすく示してくれています。小泉改革を総括するものと思われますので、後段の部分を引用させていただきます。

(以下、引用開始) 

 すべての問題は「分配」の問題に帰着できる。

 経済活動の結果得られる果実を誰にどのように「分配」するか。分配された所得の一部を税や社会保険料負担として政府が徴収する。これらを財源として政府支出が実行されるが、それを誰にどのように「再分配」するか。これが政治の課題である。

 「市場原理主義」は分配の方法決定を市場メカニズムに委ねる。「市場に委ねる」と言うと聞こえが良いが、市場では意思決定の権限を持つ者が優位に立つ。企業では経営者が強い立場に立つし、銀行融資ではお金を貸す側がお金を借りる側より強い立場に立つ。

 「市場原理主義」の下では、企業を支配する側=「資本」が「資本」に有利なルールを設定し、働く人々=「労働」に不利な状況、ルールが設定される。小泉政権は「資本の論理」だけを尊重して、「資本」の「労働」に対する横暴を全面的に後押ししてきた。これが「分配」における「市場原理主義」である。

 小泉政権の「市場原理主義」が吹き荒れたのは「所得分配」の側面だけではなかった。小泉政権は財政活動という「所得再分配」の側面においても「市場原理主義」を推進した。

 「資本」に対する課税である「法人税」を軽減して、「労働」=「一般国民」の税および社会保障負担を大幅に増大させた。また、政府支出においては、「労働」=「一般国民」に対する政府支出である「社会保障支出」や「教育支出」を歳出削減の標的に定めた。

 つまり、「市場原理主義」は「資本」を優遇して「労働」を虐(しいた)げる政策路線なのである。「市場原理主義」の暴走により、日本国憲法第25条が保障している生存権が根本から脅かされる状況が生まれた。

 若者が将来に夢を持つどころか、生活の基盤さえ奪われる状況を放置する政府を私たちは求めていない。政策の基本路線の転換が求められている。「市場原理主義」=「新自由主義」から「セーフティーネット重視」=「社会民主主義」への転換が求められている。

 麻生政権は多くの国民が生存権を脅かされている時代に、「法人税減税」、「相続税減税」、「証券課税軽減」、「高価格住宅取得減税」の方針を打ち出している。麻生政権は「市場原理主義」=「格差拡大奨励」の方針を変更する発想を有していない。

 「一般国民」=「労働者」の生活を重視する方向に政策の基本方向を転換するべきである。労働市場の政策においては、どのような労働法制を敷くのかが決定的に重要である。すべての労働者の安定した雇用を保証する制度の構築が求められている。

 正規雇用-非正規雇用の区分を撤廃することが求められる。米国の企業経営者の高額報酬が話題になるが、企業経営者の法外に高い報酬に合理的な根拠は存在しない。

 雇用、教育、医療の保証が政府の最大の役割である。高齢者、障害者、母子世帯、生活困窮世帯に対する、生存権を確実に保障する制度を確立すべきだ。

 100年に1度の経済危機を、日本社会を再生させる、日本の経済政策の基本路線を根本から転換する契機として活用すべきだ。抜本的な不況対策が求められているが、経済政策の基本路線を転換する大胆な政策を打ち出すことが求められている。

 政策路線を根本的に転換するためには本格的な政権交代が不可欠である。本格的な政権交代を実現し、一般国民の幸福を追求する政府を樹立しなければならない。所得分配についての諸制度の改革、所得再分配に関する財政政策方針を根本から転換することが急務である。

(引用終わり)

 予算を、国民のための予算に根本的に組み改めなければなりません。こういう経済的混乱の時は、真の改革を実現するチャンスといえるのかもしれません。それには政権交代が必要なのです。政権交代が、真の改革への第一歩なのだと思います。

   植草一秀の『知られざる真実』 市場原理主義に代わるもの 
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ムダを省かない財政再建はまやかしです [時事問題]

〇宣言なき政策転換を批判する東京新聞の記事

 東京新聞は、「首相、『財政』から『景気』へ 宣言なき政策転換 政権の命取りにも」と題する記事で、『景気の悪化を受け、財政再建路線を棚上げし、積極財政へ事実上、転換した麻生太郎首相。しかし、首相自身はこれを決して認めようとしない。財政か景気かの議論は歴代政権を悩ませ続け、橋本政権では命取りになった。国民に十分な説明のないまま、政策転換を図る麻生首相は橋本政権と同じ道をたどりかねない。 (吉田昌平)

 首相の方針は、歳出削減枠は守りながら、別枠で社会保障や公共事業を上積みするやり方。首相は「景気対策と財政再建は、別に両立しないわけでも何でもありませんから」と自信を示す。』 と述べています。

〇小泉構造改革温存のまやかし

 麻生首相は、財政再建路線(小泉構造改革)を否定せず、積極財政路線への転換を、国民に説明のないまま進めようとしているように見えます。麻生首相には、短慮の独断専行の傾向がありますから、国民に説明なしで進めることに怖さを感じてしまいます。

 実際、麻生首相は、何をやっているのか、何をやろうとしているのか、国民にはさっぱりわからなくなっているのではないでしょうか? 積極財政に転換したように見えますが、財政再建路線を捨てないで(小泉構造改革のレールに乗ったまま)別枠で積極財政的なことをやろうというのですからわかりにくいのは当然です。これで景気が回復すれば、また小泉構造改革路線に戻ってしまうのでしょうか? さらに、これまでにかかった景気対策費用を、消費税アップという形で、国民に負担をかけようとするのは目に見えているように思われます。

 麻生首相は、自身の言う「100年に一度の経済恐慌」に対処するのに、別枠の上積みという、いわば対症療法で乗り切れると思っているようですが、とても無理だと思います。根本的な改革が必要になってくると思われます。それには、国民に信任のない政権ではできません。総選挙をやって、国民の信任を受けた政権をつくる必要があります。

〇官僚利権などのムダの排除のない、最初に財政再建ありきはまやかしだ

 最初に財政再建ありきは、まやかしなのだということがはっきり理解できるようになってきました。これは小泉構造改革がまやかしであったということでもありますが。正しくは、官僚の(天下り)利権などのムダをなくすこと先にありきでなければなりませんでした。特別会計の220兆円には、ムダが多いようです。 民主党は、1割22兆円削れるといっています。埋蔵金は、隠し金といっても良いのでしょうか? 伏魔殿のようでよくわかりませんが、税金が余っているように見えます。特別会計は、官僚の力の源泉なのでしょう。

 このムダを削らないと、『底に穴のあいたタライに、水をいっぱいにしようと一生懸命になっている』のと同じことになってしまうのです。普通は、タライの穴をふさいでから水を入れます。これ常識ですよね! でも、自民党の政治家さんたちには、通じないのです。穴をそのままにして、水が足らない、水が足らないと言っているのです。国民は、消費税増税だと言われたら、タライの穴をふさげ、ムダを省けと言い返してやればよいのです。だまされないようにしましょう!

 植草さんが、小泉構造改革の5年半で官僚利権に手をつけなかったと強調されるのも、小泉構造改革が財政再建ありきであり、タライの穴をふさごうとしなかった偽りの改革であったことを見抜いてのものあったのです。さらに、小泉構造改革は、削ってはいけないセイフティーネットなど削って、タライを小さくしてしまったのでした。こんなことをするくらいなら、消費税の増税を国民に問うべきでした! ところが、小泉純一郎氏は「わたしの在任中は消費税は上げない」などとサボタージュをしてしまったのです。

〇対症療法の景気対策では乗り切れない

 麻生首相の別枠での上積みによる経済対策というのは、「あーそう、いいじゃないか!」で決まる、その場の思いつき景気対策ばかりであり、対症療法に過ぎないのです。

 「100年に一度の経済恐慌に対処するためには、「政官財電外(支配層)=悪徳のペンタゴン(五角形)」の既得権益に切り込んで、ムダを徹底的に排除して、予算を根本から組み直す、本物の改革でなくては乗り切れないと思います。麻生政自公政権では、自らが悪徳のペンタゴンの一角であるので残念ながらできないのです。

 麻生首相は、「逃げない」といったのですから、いつまでも、けじめのないことをダラダラ続けていないで、解散して国民に信を問うべきであります。

 東京新聞 「首相、『財政』から『景気』へ 宣言なき政策転換 政権の命取りにも」の記事全文

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再編や連立話のまやかしに負けないために [時事問題]

〇「再編」か「大連立」6割が望む…読売世論調査

 読売新聞の世論調査によると、麻生内閣の支持率は20.9%と半減し、不支持率も66.7%になりましたが、読売新聞はそんな支持率に興味ないのか、ことさら強調しているのは、政権の枠組みを問うた「望ましい政権」の調査なのでした。

   「政権再編による新しい枠組み」    33%
   「自民党と民主党による大連立」    25%
   「民主党中心」               21%
   「自民党中心」              12%

 読売新聞によると、『 政権発足からわずか2か月余で“麻生人気”が大きく失墜したことを示す今回の読売新聞世論調査で、最も注目されるのは「衆院選後の政権」として6割近くの有権者が「政界再編による新しい枠組み」(33%)か「自民党と民主党による大連立」(25%)を望んでいることだ。
 当初は期待を抱かせた麻生首相への失望は、有権者の「自民党離れ」を決定的にしただけではない。民主党も含めた今の政治全体への不満を拡大させたことを示している 』と述べています。

 読売新聞は、今回の世論調査では、各報道機関の調査の中で一番低い数字になっています。これまでの下駄をはずしして、生のデータを出してきたところを見ますと、麻生政権を見放したように思います。そして、自民ダメ、民主ダメ論にもっていって、政界再編や大連立に活路を見出すことに転換したのではないでしょうか?

 この記事の最後では、『 麻生内閣が臨時国会の会期を延長しながら、第2次補正予算案提出を年明けに先送りした背景に「衆参ねじれ」による国会運営行き詰まりへの懸念があることも否定できない。
 次期衆院選をにらみ、2大政党が政策より政局を優先しているように映る今の政治そのものに、国民は厳しい視線を注いでいる。自民支持層のうちで「自民党中心の政権」を望んでいるのは34%、民主支持層でも「民主党中心の政権」を望んでいるのは50%に過ぎない。政治の大きな変化を求める声は高まっている 』と自民ダメも民主ダメにもっていって、再編や大連立へ誘導しようとしています。

〇偽装CHANGE集団のねらい

 偽装CHANGE集団というのは、小泉構造改革を継続推進しようとしているグループのことです。このグループの中心的存在である中川秀直元幹事長は、1000万人移民計画を推進している人でもありますが、総選挙後に、民主党改革派と連携しての政界再編を公言しています。

 また、渡辺善美議員は、自民離党、新党結成を視野に入れて、すでに腹をくくっているようです。小池百合子議員も、「来年は新党がボコボコできる」と言っております。小泉チェルドレンのグループを意識しているのでしょうか?

 これら偽装CHANGE集団の人たちは、自民党に三行半を突きつけ、民主党との政界再編や連立を模索して、与党として生き残りをはかろうという狼煙をあげ始めたのだ思います。

 彼らは、改革を叫びますが、まやかしの改革なのです。彼らは、政権交代による真性改革の果実をくされさせてしまう発酵剤のような存在なのだと思います。

〇偽装CHANGE集団のまやかしに負けないために

 植草さんのブログ『知られざる真実』 12月7日の投稿「支持率暴落の麻生政権と「偽装CHANGE集団の蠢(うごめ)き」では、偽装CHANGE集団の真の狙いをわかりやすく解説されていまますので、一部引用させていただきます。

(引用開始)
 次期総選挙で民主党を軸とする野党勢力が勝利して、本格的な政権交代が実現する場合、日本の「官僚主権構造」は崩壊する可能性が高い。これまでの「官僚主権構造」によって利権を維持し続けてきた「政官業外電=悪徳ペンタゴン」は、政権交代実現阻止に向けて総力を結集している。 

 この「悪徳ペンタゴン」の最終秘密兵器が「偽装CHANGE集団」である。私は次期総選挙の争点が
 ①弱肉強食奨励VSセーフティーネット重視
 ②官僚利権死守VS官僚利権根絶
 ③対米隷属外交VS自主独立外交
 であると述べている。

 三つの対立軸の
 ①は「大資本の利益VS国民の利益」
 ②は「官僚の利益VS国民の利益」
 ③は「外国(資本)の利益VS国民の利益」
 と置き換えることが出来る。

 「偽装CHANGE集団」は「大資本の利益」、「官僚の利益」、「外国(資本)の利益」の代弁者である。「官僚利権根絶」を掲げるが、だまされてはならない。「小泉一家」は5年半も政権を維持しながら、まったく官僚利権を廃絶しようとしなかった。「小泉一家」直系の「偽装CHANGE集団」は、「官僚利権根絶」の面をかぶった「官僚利権擁護者」である。

 「真正の改革」=「真の政権交代」を阻止するために「偽装CHANGE集団」を創出して、改革を求める国民の清き1票をかすめ取ろうとしている。その目的は「真正の改革」=「官僚主権構造の破壊」を回避することである。
(引用終わり)

 偽装CHANGE集団の改革は、「官僚利権の根絶」ではなく、「官僚利権の温存」を狙っているのであり、「大資本の利益」「外国(資本)の利益」を巧妙にに代弁するものなのです。

 ですので、自民党からのいかなる政界再編や連立話は、反国民的なまやかしがあると見なさなければなりません。彼らは、植草さんの言われる「政官業外電(支配構造)=悪徳のペンタゴン」(悪徳のペンタゴン(五角形)のネーミングはしっくりきます)の代弁者なのだと思います。

 政界再編や連立話に惑わされることなく、民主党を中心とした野党による、政権交代を目指さなければなりません。そうでなければ、「真性の改革」は幻となってしまうことでしょう。

   読売新聞 「再編」か「大連立」6割が望む…読売世論調査 の記事全文

   植草一秀の『知られざる真実』 「支持率暴落の麻生政権と偽装の蠢(うごめ)き」
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