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東急電鉄さん、もう少し思いやりを [社会問題]

 東京メトロ副都心線(和光市-渋谷間)の開通を六月に控え,東京メトロから昨年十二月初旬に管理を引き継いだ東急電鉄は、メトロ半蔵門線・東急田園都市線駅の地下通路で寝ていた野宿者約五十人を突然追い出してしまいました。イメージアップのための美化清掃が目的という名のもとに。そこは風雨にさらされる路上よりは確かに暖かく、これまでは野宿が黙認されてきた安息の場所であったのです。シャッターが開いた早朝の数時間と深夜に閉まるまでの数時間、比較的暖かい地下通路の片隅で眠る“つかのまの休息”がありました。

今は、「早朝の機械清掃の妨げになる」と通路での寝起きを禁止し、野宿者が横になろうとすると、警備員が駆け寄って注意するようになってしまった。無機質な都会の冷たい風景に変わってしまったというのです。

 野宿者の問題は、第一に行政が責任を持たなくてはならない問題ではありますが、東京メトロでできていたことが、東急電鉄にできないことはないでしょう。清と濁の濁の排除、強者と弱者の弱者の排除の論理を一方的に押し付けてよいわけないと思います。野宿者の問題も日本の現実なのですから、排除の論理ではなくて抱え込んでいく姿勢が必要といえるのではないでしょうか。少しぐらい汚れていても東急電鉄に悪い印象を持つ人はいないと思いますから。


野宿者 休息の地追われ 新線開通控えた渋谷駅地下通路


地下通路で行われている早朝の清掃作業。野宿者の人た
ちはこれを避けて通路入り口へ移動している=渋谷駅で
 
  東京メトロ副都心線(和光市-渋谷間)の開通を六月に控え、周辺の再開発が進む渋谷駅。昨年末、メトロ半蔵門線・東急田園都市線駅の地下通路で寝ていた野宿者約五十人が、新駅開業に伴い管理を引き継いだ鉄道会社に突然、寝場所を追われた。イメージアップのための美化清掃が名目という。風雨にさらされる路上よりは暖かく、これまでは野宿が黙認されてきた場所だった。行政は「民間企業のやることに口は出せない」と及び腰だ。 (松村裕子)

 氷雨が降り出した昨年末の夜。ホームレスの自助団体「渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合(のじれん)」による駅周辺パトロールに同行した。午後十時ごろ、駅から百貨店につながる地下通路の入り口に約十人が段ボールを敷いて寝ていた。

 「十二月からここでしか寝られなくなった」と、元とび職の男性(66)。仕事も年金もなく八月から駅をねぐらにする。「ここは風や雨が直接吹き込む外と違う。段ボールが一枚あれば大丈夫」としばしの眠りについた。

 以前は、シャッターが開いた早朝の数時間と深夜に閉まるまでの数時間、比較的暖かい地下通路の片隅で眠る“休息”は黙認されてきた。東京メトロから昨年十二月初旬に管理を引き継いだ東急電鉄は、「早朝の機械清掃の妨げになる」と通路での寝起きを禁止。野宿者が横になろうとすると、警備員が駆け寄って注意するようになった。

 将来、東急東横線に乗り入れる副都心線の新駅は東急の管理となり、新駅に通じる半蔵門線・田園都市線渋谷駅も同社が一括管理を引き受けた。東急はメトロ管理時代より清掃を徹底し「新駅の(きれいな)レベルに合わせたい」とする。追い出された人のほぼ半分は、別の民間企業が管理する地下通路入り口の狭い場所へねぐらを移動。ある男性(63)は「貧乏人は死ねということか」と憤った。

 ホームレス特措法は「公共施設の管理者について、その施設がホームレス起居の場所とされている時、自立支援に関する施策との連携を図って適正利用のための措置をとる」と定めている。

 のじれんは「自立支援もせず、冬に強制的に閉め出すのは殺人行為」と東急に抗議。「終日シャッターを開けろと言うのでない。わずかな休憩時間を戻してほしいだけ」と黒岩大助代表(42)は語気を強める。東急は「通路は公共性が高い場所だが鉄道事業者の所有。公園など自治体が所有する公共の場所とは違う」と反論する。

 渋谷区の清水幹生活福祉課長は「区は数十人もの受け入れ施設を準備できないので、大勢を一挙に路上に出さないで、とお願いしたのに」とぼやく。一九九六年に新宿で「動く歩道」建設のため路上生活者を追い出した都の担当者でさえ、「公共空間の占拠でも、行政なら事業や利用者の支障にならない限り排除しない」と言った。

 麦倉哲・東京女学館大教授(社会学)は「(東急は)行政と事前に交渉すべきだ。追い出しありきでは、企業倫理を問われる」。労働ジャーナリストの金子雅臣氏も「民間といえども、公共交通機関。法の趣旨を尊重することが必要」と東急に厳しい見方をする。

 のじれんによると、追い出された人のうち六十代とみられる男性が今月半ば、寒さのため亡くなったという。約二百人が駅周辺や公共施設の軒下で野宿をしている渋谷。区は追い出された人に積極的に対応しているわけでなく、相談に来るのを待っているだけだ。

<東京のホームレス対策> 全国のホームレス約18000人(昨年1月)のうち、約4200人が集中する東京23区。都と区は2000年ごろから共同して、健康回復や就労を支援する施設を設置、公園などのテント生活者を対象にした民間宿泊所などへの居住を進める事業を展開してきた。03年と比べ約1700人減少したことに、都も渋谷区も「成果はあった」とするが、「当初の役所の対応に腹を立て制度を利用しようとしない人もいる」(都)と、救済策から漏れる人の存在も認めている。(東京新聞)


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岸田法眼

東急はブランドに高いプライドを持っている印象がありますね。高知東生さんの芸名を裁判ザタで変えるぐらいですから(芸名の読みにはムリがあるのは確かですが、本人は27歳で芸能界に飛び込んだことから、「東急」という字で、“ノボル”とつけたそうです)。

「イメージアップ」と言っても、この場所はもともと悪いイメージは持っておらず、気に留めていなかったので、今回の記事には驚いております。

ホームレスについては行政が整備を進めているとはいえないでしょう。廃校などを利用して、ホームレスの宿泊施設を作り、仕事先をあっせんしないとダメでしょう。出せる税金の問題もあるのでしょうね。税金でまかえないのであれば、募金をすればいいのです。そういう行政にはそういう発想がないのでしょうか。
by 岸田法眼 (2008-02-09 15:33) 

namako

例えば昨今、高いところで立ち往生している
犬を大勢で救助してみたり、傷を負った渡り鳥
を保護して治療したりっていうような
ニュースを見たりします。 正直言って、野生動物
や犬猫より、定住して無い人間の方が価値が
低いって事でしょうか。 どちらも人間の中の極一部、
動物の中の極一部の対比でしかありませんが、
あまりに扱いが違いすぎるように思います。
情け無いことこの上ないです。
by namako (2008-02-09 20:37) 

ofil425

法眼さんコメントありがとうございます。
高知東生さんの話は知りませんでした。東急をノボルと読ませるなら別にいいではないかと思いますが、東急はプライドが高いのでしょうか。

行政の当事者は、ホームレスは行政の範囲外という意識が強いのかも知れませんね。
by ofil425 (2008-02-09 21:08) 

ofil425

namakoさんコメントありがとうございます。
本当に、おっしゃるとおりですよね。
人間を犬猫以下にしてはいけません。
地球上に餓えている人はいっぱいいるのに、穀物を自動車に食わしてはいけません。
世の中矛盾だらけですね。
by ofil425 (2008-02-09 21:17) 

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