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防衛省、組織防衛に走り、ウソの連鎖の泥沼にはまる [ニュース]

 イージス艦の衝突事故に対する防衛省の対応は、混乱の極みに達しているようです。海上自衛隊は、事故当日に、事故直前の当直士官である航海長をヘリコプターで防衛省に呼んで事情を聴いていたのです。今回の事故では、自衛隊は「被疑者」であるわけですから、捜査にあたる海上保安庁に事前連絡を当然すべきでありました。しかし、連絡を怠っていたのです。それを糊塗しようとして、防衛省幹部たちのごまかし狂騒劇が始まりました。

  「あたご」からは、事故当日9時10分に航海長を載せたヘリが飛びたち、また、清徳丸を救助しようとした際に負傷した乗組員を病院に搬送するヘリがもう一機の合わせて二機飛び立ったのです。防衛省は、このときに「海保の承諾を得ていた」と言っていました。しかし、海保側が26日、「連絡は事後だった」と反論すると、石破防衛相は27日午前の衆院予算委員会で、無断だったことをあっさりと明らかにするのです。防衛省で再度調査したところ、海自横須賀地方総監部の防衛部第4幕僚室長が横須賀海上保安部に「けが人を病院に運ぶ。部隊に報告するため、幹部1人も運ぶ」と連絡したとの説明があったが、海保の担当者が誰だったかは分からず、記憶はあいまいだという話であることが分かったのです。増田次官は「相手(海保)が受けていないと言っており、(防衛省の説明が虚偽だった)可能性はある。もう少し確認して述べるべきだった」として、事実上「虚偽説明」を認めるはめになりました。

   航海長の搬送については、実際には別々のヘリで行われていたにもかかわらず、海幕は当初、省内の幹部に対し「東京の医療施設に運ぶけが人の付き添いで航海長が同乗した」と一機で行ったと説明していて、この内容が報道されていました。増田次官は27日の会見で、事故当日の19日午前、横須賀地方総監部から横須賀海上保安部に対し「救助活動で救命艇を下ろす際に負傷した乗組員1人と、部隊連絡のための幹部1人をヘリで搬送する」という連絡を行い、けが人は横須賀市へ、幹部は海幕へ、別のヘリで運んだと説明しました。 ところが、海保では、この連絡自体の確認ができず、19日午後、幹部1人(航海長)を搬送したとする事後説明については、海上保安庁が連絡を受けたことを認めましたが、けが人の報告があったことは否定しているのです。増田次官のけが人の報告もしたというのは虚偽の疑いがあるわけです。 防衛省幹部の一人は「航海長を船から離れさせたことが露呈した当初、海幕は『航海長はけが人の付き添いだった』と正当化しようとした。実際には、けが人と航海長が別々のヘリだったため、報道された『同乗』という説明と矛盾が生じ、会見で増田次官が、けが人を運ぶ連絡もしたと主張せざるをえなかったのではないか」との見方を示しているとあります。つじつま合わせのためだったのでしょうか?

  午前中に海幕で事情聴取をした後、正午ごろ大臣室で二度目の聴取が行われましたが、その事情聴取には石破氏が直接乗り出していたのに、当初その事実は伏せられました。防衛相には聴取した内容を、なぜか後で報告したことにしていたのです。 また、増田氏は27日の会見では大臣室での再聴取内容について「正式な議事録は取っていない。どんな内容だったか覚えていない」と平然と述べていましたが、28日の会見では「事務方が記録を取っていた。メモを作成して(19日)夕方には海上保安庁にファクスで送った。(私も)目を通した」と証言を翻しています。まるっきりの嘘を言っていたことになります。

  まあ、防衛省の連中が可哀想になるくらいのウソの連鎖であるわけですが。幹部朝日の社説では、『迷走する防衛省の説明を聞いていると、この役所が周到に組織的に情報を隠そうとしているのかどうかは、疑わしい。もっと悪いことに、だれも全体像を把握できず、バラバラに対応しているだけなのではないかと思えてくる。
  海上自衛隊の隠蔽(いんぺい)体質への不信感、組織を把握しきれないまま突出する防衛相、そういう防衛相を支えきれない幹部のもろさ――。さまざまな要因が重なり、防衛省はいま混乱の極みにある。』とまで書かれてしまいした。

  防衛省は、海幕、内局、防衛大臣がバラバラで、組織的な情報隠しもできないような組織なっているのではないかということですね。ブラックジョークでしょうが、危機管理がまったくできていないということなのです。これでは文民統制が取れているのかも怪しくなってしまいます。

  二十六日の衆院安全保障委員会で、辻元清美氏に「(防衛省として)統一した意見を言っているのか」と問われた石破防衛相は「話にならないことが多いんです。話にならない」と、防衛省への不満を漏らしたと新聞記事にありました。

  話にならないのは、石破防衛大臣自身も同罪だと思います。大臣が大号令をかけて、一糸乱れぬ統率をするのが大臣の務めではないでしょうか。このように混乱しているのは、防衛大臣の責任でもあります。福田首相は、他人事で頼りにならないのでしょうから、石破大臣に事後処理を頑張っていただくしかありません。その後で、きっちりとけじめをつけていただきたいと思います。


イージス艦事故:次官説明、虚偽の疑い強まる(毎日新聞)

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参院外交防衛委での質疑を終えた石破茂防衛相=国会内
で2008年2月28日午後4時9分


 海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳(せいとく)丸」の衝突事故で、石破茂防衛相らが海保に無断で航海長の聴取をしていた問題で、防衛省の増田好平事務次官は27日の会見で「(事前に了解を得ていたという説明が虚偽だった)可能性は全く排除できるということではない」と述べた。これまでの説明が虚偽だった疑いが強まった。
一方、石破氏は28日の参院外交防衛委員会で、大臣室での再聴取は自身の意向だったことを明かした。捜査妨害とも取られかねない大臣室での聴取を防衛相自ら発案したことで、石破氏の責任追及はさらに強まりそうだ。

 増田氏によると、19日午前9時過ぎ、救助活動中にけがをした乗組員を神奈川・横須賀基地へ、部隊への報告のために航海長を海上幕僚監部(東京都新宿区)へ、2機のヘリコプターでそれぞれ移送した。海幕幹部が午前10時ごろから約1時間事情を聴いた後、正午ごろから約1時間、大臣室で石破氏や増田氏ら約10人が再聴取した。乗組員と航海長の移送は、横須賀海上保安部に事前連絡し了解を得ていると説明した。

 しかし海保では連絡自体の確認ができず、航海長の搬送については、事後に連絡を受けたことを認めたが、けが人の報告があったことは否定している。

 石破氏は25日の衆院予算委員会で「捜査の厳正性のため、乗員に接触していない」と答弁していたが、28日の参院外防委では「話を聞いていたと言うべきだった」と前言を撤回した。航海長の聴取については「(海幕に)呼べという指示は出していない。(海幕長から)事前に教えてもらいたかった」と述べた。だが、海幕で聴取していることを知り「ならば私も聴く」と再聴取が自らの意向だったことを認めた。増田氏も28日の会見で同様の説明をしている。

 石破氏は「(海幕に)呼べという指示は出していないが、呼ぶこと自体は不適切だと思わない」と述べた。虚偽説明ではという追及には「隠す意図は全くなかった」と反論した。

 また、増田氏は27日の会見では大臣室での再聴取内容について「正式な議事録は取っていない。どんな内容だったか覚えていない」と述べていたが、28日の会見では「事務方が記録を取っていた。メモを作成して(19日)夕方には海上保安庁にファクスで送った。(私も)目を通した」と証言を翻した。
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のり君

今回の事故は、双方の不注意から最悪の事態となってしまったわけですが、これまでのマスコミの一方的な報道には、甚だ違和感を感じています。そもそも、吉清さん親子は救命胴衣を着けていたのでしょうか?「あたご」を確認していたのか?その辺りも、しっかりと調べるべきだと思いますし、それがマスコミの使命だと思います。また、今回の件で早くも政争の具にしようとしている政党がいるのは、防衛省のゴタゴタ劇よりも悲しい事だと思っています。何よりも吉清さん親子の無事を祈るべきです。
by のり君 (2008-02-29 22:13) 

ofil425

吉清さん親子は、たぶん救命胴衣はつけていなかったのでしょうね?
でも操縦室は木っ端微塵になってしまいましたので、救命胴衣を着けていれば助かったとはいえないと思います。
吉清さんは、「あたご」を確認できていなかった可能性が大きいのではないでしょうか? レーダーを見ていなかったかもしれません。
「あたご」は、右手に漁船を見ながら、危険を感じないで、漫然と直進してしまいました。衝突事故になってしまえば、船の大小に関係なく右手に見ていた「あたご」に回避義務があったということになってしまうのだと思います。
今回の事故に関する防衛省の説明には、虚偽がありました。ウソはよくないと思ったのです。
私も、吉清さん親子の無事を祈るべきだと思います。
by ofil425 (2008-03-01 00:05) 

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