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橋下氏こそ憲法を学べの声 [ニュース]

 橋下次期大阪府知事は、井原前岩国市長が基地問題を住民投票にかけたことに対して、「防衛政策に自治体が異議を差し挟むべきではない」「間接代表制をとる日本の法制度上、直接民主制の住民投票の対象には制限がある」と批判したそうです。井原氏が「国民が国政にものを言うのは当然」と反論すると、「憲法を全く勉強していない」などと再反論したと伝えられています。
 
 橋下氏の理屈で言うと、基地住民がこれ以上の負担には耐えられないと国の防衛政策に異議を申し立てることは認められないということになりますから、基地住民は国の言いなりにならねばならないということになってしまいます。さらに橋下氏は、「間接代表制なのだから、直接民主制の住民投票の対象には制限がある」と間接民主性優位のような発言をしていますが、憲法は国民主権をうたっています、憲法の精神は、直接民主制なのだと思います。それができないから間接民主制をとっているだけの話なのではないでしょうか。代議員は、つねに国民の声を意識していなければならないのだと思います。法的拘束力のない住民投票にかけることがなぜ直接民主制になってしまうのかわかりません。

 井原岩国前市長は、自分がどう行動すべきか判断するために住民投票を行ったのだと思うのです。憲法の精神に照らしても、まったく正当な行動であったと思います。橋下氏は、自分の都合のよいように憲法を持ち出して理屈付けしているだけではないでしょうか。 そもそも、岩国のことをよく知らないと自らも認めている橋下氏が、なぜ岩国の問題に首を突っ込んできたのでしょうか? 

 橋下氏は、国の防衛政策に住民が文句を言うことが気に入らないのではないかと思わざるを得ません。橋下という人は、非常に権力志向強い人のようです。はっきり言えば、選んだ以上住民は文句を言うな、選ばれたものが自由にやる権利があるのだからということです。 大阪府民は、なんとも鼻持ちならない人物を知事に選んだものです。橋下氏は、大阪府民に過酷な負担を強いることになるかもしれません。そうなったとしても、残念ながら責任を負わなければならないのは選んだ大阪府民ということになってしまいます。


橋下節に疑問の声「あんたこそ憲法学べ」 岩国住民投票


橋下徹・次期大阪府知事

 米空母艦載機移転をめぐり06年春に山口県岩国市が実施した住民投票に対する橋下徹・次期大阪府知事の発言に、憲法学者や政治学者らが首をかしげている。弁護士でもある橋下氏は、反論した前岩国市長の井原勝介氏を「憲法を勉強して」と痛烈に批判したが、「橋下さんこそ不勉強では」との指摘も出ている。

 橋下氏の発言が飛び出したのは1月31日。3日告示の岩国市長選で艦載機移転容認派が推す前自民党衆院議員の福田良彦氏を応援するビデオ撮影に応じた後、「防衛政策に自治体が異議を差し挟むべきではない」「間接代表制をとる日本の法制度上、直接民主制の住民投票の対象には制限がある」と持論を展開。井原氏が「国民が国政にものを言うのは当然」と反論すると、1日に「憲法を全く勉強していない」などと再反論した。

 橋下氏の発言に対し、小林良彰・慶大教授(政治学)は「この種の住民投票には法的拘束力がない。住民の意思の確認・表明なのだから、それを憲法が制限することはあり得ない」と指摘。「防衛は国の専権事項だが、基地問題は地元住民にとって生活問題だから、意見を言う資格がある。それは憲法が認めた言論の自由だ」と述べ、「橋下さんこそ憲法を勉強した方がいいんじゃないか」と皮肉った。

 小林節・慶大教授(憲法)は「橋下さんは憲法を紋切り型に解釈しているのではないか」と首をひねる。「地域の問題について住民の声を直接聞いて、その結果を地方自治体の意向として国に示して実現を図っていい、というのが憲法の考え方だ」と言う。

 奥平康弘・東大名誉教授(憲法)は「法的拘束力のない住民投票の是非について、わざわざ憲法を引き合いに出すこと自体が論外」と突き放した。「弁護士が『憲法』と言えば、いかにも説得力があるように聞こえるが、政治家として政治的な発言をしたまでのこと。人びとの注目を集め、目的は達成したんじゃないのかな」と冷ややかに語った。

asahi.com
http://www.asahi.com/politics/update/0202/SEB200802020019.html


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コメント 2

PALCOM

おっしゃるとおり、「橋下氏は、国の防衛政策に住民が文句を言うことが気に入らない」だけだと思います。

ただ、「憲法は国民主権をうたっています、憲法の精神は、直接民主制なのだと思います。それができないから間接民主制をとっているだけの話なのではないでしょうか。」というご意見ですが、この点は、憲法の一般的な学説とは異なります。憲法の精神は、やはり、間接民主制を原則とし、直接民主制を禁じているというのが一般的な理解です。それは、間接民主制を採用すれば、理性的な討論が可能となり、少数者に対する人権侵害を防ぐことができるからです。直接民主制だと、どうしても多数意思が優先されて、少数意思が一顧だにされないからです。従って、橋下府知事のコメントは、形式論理的には、誤りとはいえません。

しかし、ご存知かもしれませんが、憲法95条には、例外的に直接民主制を採用している場面があります。特定の地方公共団体にのみ適用される法律を住民が否決できるという規定です。この場合、法的拘束力があることになります。何故、この場合に、直接民主制が例外的に許容されるかというと、住民という少数者を保護するために、直接民主制が使用されているからです。基地ができれば、有事の際に住民は巻き添えになる可能性があり不利益が大きいわけですから、憲法95条の趣旨に照らして、住民投票が認められるのは当然といえます。多数者の横暴を防ぐための武器としての直接民主制は許容されるべきです。
by PALCOM (2008-02-09 10:47) 

ofil425

PALCOMさん読んでいただいてありがとうございました。
憲法の解釈としては、仰られるとおりだと思います。私も、ちょっとおかしいな、言葉の使い方が正しくないと感じつつ、ついつい書いてしまいました。反省しています。
憲法の精神は、前文を意識していたのですが、『そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。』の部分ですね。これを「憲法の精神は、直接民主制なのだと思います。」では、直接民主制の言葉の使い方がおかしかったですね。「憲法は国民主権をうたっています、憲法の精神は、直接民主制なのだと思います。それができないから間接民主制をとっているだけの話なのではないでしょうか。」の部分は取り消させていただきます。
現在の政治状況を眺めていると、私の目から見てですが、多数者の利益が反映されていないで、むしろ少数者の利益の方がより反映されているように感じてしまうのです。多数の弱者より、少数の強者の利益ですね。その結果が格差社会なのだと思います。
憲法にある国民の福利が享受できていないのは、代表者ができるだけ多数の国民の利益を考えることができていないことが原因だと思います。もちろん選ぶ国民に問題があるのですが。
このままでは、間接民主制が歪んでいってしまうのではないかという不安があります。橋下氏の発言は、これを助長するようなニュアンスを強く感じたものですから、私の言い方も飛んでしまいました。
代表者は、国民の厳粛な信託によるものでありますから、常に国民の方を向いて、できるだけ多くの国民の利益をはかって行かなければならないのだと思っています。
by ofil425 (2008-02-09 16:37) 

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